[例題解説]復号誤り率の求め方|情報源符号化#5

情報数学

本記事は、情報理論の基礎である「情報源符号化」のまとめ記事シリーズの第3章です。
「情報源符号化」のまとめ記事では、「エントロピー」から始まり「条件付きエントロピー」「相互情報量」「通信路容量」「平均誤り率」「情報速度」について解説していきます。
統一した例題を使用しますので、ご安心して学んでいただけます。

第5章では「平均誤り率」に焦点を当て、
その定義や意味、具体的な計算方法について解説します。

前回の「通信路容量」について解説した記事は↓になります。

平均誤り率(復号誤り率) とは?

一言でいうと、
「送信側のデータが受信側で誤って受信される確率の平均値」

平均誤り率はPeと表記される。
 Peが小さい:データが正確に届く
 Peが大きい:データが誤って届く

また、平均誤り率は
Pe=1-記号が正しく復号される確率

という式でも求めることができる。

例題

[例題]
 図のような2元無記憶通信路を考える。入力X,入力Yとし、いずれもアルファベット{0,1}上の確率変数であるとする。入力X=0となる確率をpとする。2元エントロピー関数h(α)=ーαlog2α ー (1ーα)log2(1ーα)を利用できる場合は、それを用いよ



(1)エントロピーH(Y)を答えよ。      ←前回の記事#1で解説
(2)条件付きエントロピーH(Y|X)を答えよ。 ←前回の記事#2で解説
(3)相互情報量I(X;Y)を答えよ。       ←前回の記事#3で解説
(4)通信路容量C0とそれを実現するpの値をそれぞれ答えよ。←前回の記事#4で解説
(5)2ビットの2元符号M={00,11}を考え、2つの符号語が1/2で生起する。
 図の通信路でこの符号を送る時、復号誤り率Pe(平均誤り率)を答えよ。   
  送信符号と受信符号とが一致しない場合に誤りとみなす。  ←今回はここ
(6)(5)の2元符号の伝送速度R(情報速度)を答えよ。

             図1:2元無記憶通信路

引用:名古屋工業大学 2021年度 大学院工学研究科(博士前期課程)
   専門試験問題 (情報工学系プログラム)

解答・解説

(5)2ビットの2元符号M={00,11}を考え、2つの符号語が1/2で生起する。
 図の通信路でこの符号を送る時、復号誤り率Pe(平均誤り率)を答えよ。
   
  送信符号と受信符号とが一致しない場合に誤りとみなす。 

この通信路で{00}を送信したとすると、(0を2回送信)
{00} → {00}  を受信する確率は1/4 (正しく受信される)
{00} → {01、10、11} を受信する確率は3/4 (誤って受信される)

この通信路で{11}を送信したとすると、(1を2回送信)
{11} → {11}  を受信する確率は1 (正しく受信される)
{11} → {01、10、00} を受信する確率は0 (誤って受信される)

したがって、
1/2の確率で00が生起して3/4の確率で誤る。
1/2の確率で11が生起して0の確率で誤る。

平均誤り率は
Pe=1/2×3/4 + 1/2×0 = 3/8

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